フロアバレーボールは全盲や弱視の視覚障がい者と健常者が一緒にプレイできるように考案されている球技で、6人制バレーボール競技規則を参考にしています。
①コートとネット
コートは成人6人制バレーボールで使用するコートと同じ規格ですが、ネットは床上に30cmの隙間ができるように張るため、ネットの上下にワイヤーが通された専用のネットと、それをセットするための専用ポールが必要となります。これらは全国各盲(視覚支援学校)や障がい者スポーツ(福祉)センターなどに整備されています。
②ボール
弱視の見やすさを考慮し、連盟が公認球と認定する天然皮革製の白色ボール(モルテン MTV5FV)を使用します。
なお、ボールについての各種お問い合わせは日本フロアバレーボール連盟までお願いします。
③チーム構成
チームは前衛3名、後衛3名の計6名で構成され、前衛選手はアイマスクもしくはアイシェードを着用し、何も見えない状態でプレーします。
④基本動作
前衛選手は、床面を転がったり跳ねたりするボールの音や味方後衛選手の支持を聞きながらプレイするため、しゃがんだ姿勢となることが多く、よって、身体のどの部にボールが触れても反則にはなりません。また、ボールを撃つ時は、転がったり跳ねたりしているボールを床上でいったん押さえ込み、続いて片手でボールを押さえながら、それを軸に身体を移動させ、撃つ方向が定まれば握り拳でボールを撃ちます。なお、これらの動作は一連の動作としてスムーズに行うことが肝要です。また、この動作中はボールを持ち上げたり、大きく動かしてはいけません。後衛選手は、ボールを目で見てプレイするので、前衛選手のようにボールを止めてしまうプレイはキャッチボール[ホールディング]という反則となるため、明瞭にヒットするようにレシーブやトス、スパイクをします。この際、両手をしっかりと組むか、片手を必ず握り拳にしてプレイしなければなりません。
⑤サーブ
コートの後方の境界線であるエンドラインの外側に区画されるサービスゾーン内にボールを置き、主審のサービス許可の吹笛後、自らのサービス番号を明瞭に告げ、5秒以内に撃たなければなりません。このサービス番号とは、6人の選手それぞれにローテーション順に基づいて決められているサーブを打つ順番のことです。
なお、前衛選手の場合は、方向指示の目的で味方選手がネットの付近で声や手ばたきをした後に主審はサービス許可の吹笛をします。
このようにして撃たれたサービスボールは、相手選手に触れるか、もしくは相手側コートの後衛ゾーンに達した時点でサービス完了となります。なお、サービスボールがネットの下端に触れることは反則ではありません。
⑥ラリー
正しく撃たれたサーブに対し、レシーブ側チームは3回までのプレイで相手側コートへ打ち返さなければなりませんが、レシーブ側チームの前衛選手に最初のボールの接触があった場合、これはブロックとみなされ、プレイ回数には数えません。
⑦ボールのインとアウト
フロアバレーボールでは、ボールは常に床面を転がって来るという特徴から、ボールのインとアウトはサイドラインとアタックラインとの交点付近のどこをどのように通過したかで判断することになります。
ルール上、アタックラインは前衛ゾーンですので、ボールの接地面がアタックラインの後方の床面であればボールインです。しかし、ボールインの軌道であっても後衛ゾーンの床面を空過したり後衛ゾーンに達する前にコート外に出たボールについては、サイドラインを超えた瞬間にボールアウトの判断が下されます。
⑧ブロック
ブロックは前衛選手のみのプレイで、相手側コートから撃たれたサーブやアタックなどに対し、ネット付近(ネットから約1.5m以内)でしゃがんだ姿勢の前衛選手にその打球が当たった場合をいいます。
⑨リターンプレイ
これは、レシーブ側チームの第2打目のプレイにおいて、コート外のフリーゾーン内にあるボールへのプレイに関するルールで、このような場合、後衛選手はコートを出てフリーゾーン内でプレイすることが認められています。ただし、このプレイではボールは味方コート内に返球しなければならず、相手側コートへ返球してしまった場合はリターンミスとなります。
しかし、アイマスクやアイシェードを装着している前衛選手にこのルールは適応されません。
⑩主な反則
以下のようなプレイは反則となり、相手チームにポイントが入ると共に、サービス権を所有していた場合はサービス権も相手チームに移行します。
(1)サーブミス
サービスしたボールが味方選手に当たったり、ネットの上を通過したり、ネットに跳ね返されてレシーブ側チームのコートへ行かなかった場合など。
(2)キャッチボール[ホールディング]
前衛選手がいったん押さえ込んだボールを持ち上げたり、大きく動かした場合。また、後衛選手が動いているボールを止めてしまったり、手のひらでボールを撃った場合など。
(3)ダブルコンタクト[ドリブル]
前衛選手では、ブロックを除いたプレイにおいて、身体に触れて弾いたボールを押さえ込むために、元いた場所から完全に両足を動かしてボールを押さえ込んだ場合はこれにあたります。また、アタックしたボールがネットに当たって跳ね返り、再びその選手に触れた場合もこれにあたります。
後衛選手においては、レシーブの際など、身体の2カ所以上に続けて当たった場合などがこれにあたります。
(4)フォー・コンタクト[オーバータイムズ]
3回のプレイで相手側コートへ返球できなかった場合のことです。
(5)ボール空過
サーブやアタックされたボールは、相手選手または相手側コートの後衛ゾーンの床面に触れることなく、コート外へ出た打球は反則となります。。
(6)ネットタッチ
前衛選手のみが侵す反則で、ボールに触れていると同時にネットにも触れてしまった場合のことです。
(7)オーバーゾーン
前衛選手が相手側コートにあるボールを押さえた場合。後衛選手においては、アタックラインを踏み越した場合をいいます。
その他にも詳細なルールはありますが、上記は基本的なこととして覚えておきましょう。